はじめまして。
トモコと申します。
現在は主婦として家庭を支えながら、在宅でWEBライターやSNS運用の仕事をしています。
結婚する前の私は、約10年間「知財業界」で働いていました。
といっても、
「知財業界ってなに?」
「どんな仕事をしているの?」
と思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、私が10年にわたり知的財産の世界で過ごした経験を通して、業界の実情や魅力、そしてこれから社会人になる皆さんへのメッセージをお伝えしたいと思います。
なぜ知財業界に入ることになったの?
実は、最初から知財業界を目指していたわけではありません。
新卒の就職活動で思うようにいかず、ふらふらしていた時期に、たまたまご縁があって特許事務所に採用されたのがきっかけです。
大学では英語と中国語を学び、留学経験もありました。
その語学力が評価され、声をかけて頂けたのだと思います。
けれど、法学部出身ではなく、知的財産権どころか法律の知識もゼロ。
入所して最初の1年間は、正直、会話の半分も理解できませんでした。
同僚たちは日本語を話しているはずなのに、まるで異世界の言語を聞いているような感覚。
「日本語なのにわからないって、こんなに不思議なことあるんだ!」
と、逆に感動したのを覚えています(笑)
知財業界の仕事ってどんなことをするの?
「知財業界」とひと口に言っても、主な勤務先は大きく分けて3つあります。
1. 特許事務所
2. 企業の知財部
3. 特許庁
私が働いたのは、1つ目の「特許事務所」です。
特許事務所では、弁理士という専門家が、企業や個人の発明を特許として登録するための手続きを代行します。
私はその弁理士のアシスタントとして、書類作成やスケジュール管理など、幅広い業務を担当していました。
私の勤務先は、弁理士4名・事務員6名の小さな事務所。
大手のように仕事が細分化されていないため、まさに“何でも屋”のような日々でした。
- 出願前の書類チェック
- 中間対応
- 登録
- 更新
- 裁判関連の補助
- 来客対応
- お茶出し
- コピー取り等…
決まったルーティンはほとんどなく、臨機応変に動くことが求められました。
特許事務所の仕事ってきつい?
仕事内容自体は、とてもやりがいがありました。
案件ごとに期限があり、締め切り前のドキドキ感や、タスクを片付けたときの達成感はまるでゲームのよう。
自分の仕事が、発明という新しい価値の誕生を支えていると思うと、ワクワクする瞬間も多かったです。
ただ、職場の人間関係にはかなり苦労しました。
私は入所前、「知的で穏やかな人たちに囲まれて、静かな環境でコツコツ働ける」と期待していたのですが……その幻想は、初日の朝礼で見事に打ち砕かれました。
所長が1時間近く怒鳴り続ける「朝のミーティング」。
その後も、事務所のあちこちから聞こえるため息や舌打ち、ファイルを机に叩きつける音。
OJT中のデスクで「え、就職先、間違えたかも…?」と思ったのを今でも覚えています(笑)。
私がいたのは、わずか10名の零細事務所。
人事異動もなく、メンバーが固定されているため、人間関係の閉塞感は強く、空気もどんより。
「仕事そのもの」よりも「人間関係」によって消耗してしまうことが多かったのが現実でした。
お局さまとの闘い、そして退職
この事務所で私は5年間働きましたが、最後は心を病んで退職することになりました。
原因は、同じ事務員の“お局さま”たちとの人間関係です。
中でも特に影響力の強いリーダー格のお局さまがいて、表向きは社交的で人当たりもよく、上司からの信頼も厚い人物でした。
しかし裏では、私の小さなミスを誇張して報告したり、私の言動を歪めて伝えたりして、少しずつ上司の信頼を奪っていきました。
口が達者で話も巧みな彼女は、次第に上司を味方につけ、私が“問題児”であるかのように印象づけていったのです。
その結果、上司の態度も変わっていきました。
無理な指示を与えられたり、些細なことで叱責されたりと、徐々に職場全体の空気が私にとって息苦しいものになっていきました。
仕事自体は好きだったのに、出勤するたびに心がすり減っていく——そんな日々が続き、最終的に退職を決意しました。
今振り返ると、あの経験はとてもつらいものでしたが、「どんなに頑張っても、理不尽な状況は存在する」という現実を教えてくれた時間でもありました。
そして、「自分を守るために環境を変える勇気」こそが、社会人として本当に大切な力なのだと知りました。
知財業界で働いて得たもの
知財業界での10年間を通じて、私はたくさんのスキルと学びを得ました。
- 正確さとスピードを両立させる事務処理能力
- 専門用語を扱うためのリサーチ力
- 弁理士や海外代理人とのやり取りで培ったコミュニケーション力
- そして何より、「どんなに難しくても、必ず理解できるようになる」という自信
最初は意味不明だった特許用語も、いつの間にか自然と使いこなせるようになっていました。
努力すれば必ず成長できることを、知財業界で身をもって実感しました。
新社会人へのメッセージ
知財業界に限らず、どんな職場にも「思っていたのと違うこと」はあります。
でも、それでキャリアが終わるわけではありません。
理不尽なことも、苦しい人間関係も、避けられないことがあるでしょう。
どんな経験も、あなたの糧になります。
知財業界で得た知識や経験は、私にとってその後の人生を支える“土台”となりました。
いま私は在宅で仕事をしていますが、当時の経験が確実に生きています。
- 正確な情報を扱う力
- 丁寧に確認する姿勢
- 相手の意図をくみ取る力
どれも知財の現場で鍛えられたスキルです。
完璧でなくて大丈夫です。
知識ゼロでも、失敗しても、何度でもやり直せます。
「わからない!」
と思った瞬間こそ、成長の始まりです。
知財業界は、専門性が高く奥が深い世界ですが、その分、学べること・誇れることもたくさんあります。
少しでも興味を持った方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。
その一歩が、きっとあなたの未来の可能性を大きく広げてくれるはずです。
中途採用者へのメッセージ
もしあなたが中途採用として知財業界に挑戦しようとしているなら、まず知っておいてほしいことがあります。
中途で入ると、新しい環境に慣れるまでに時間がかかるのは当然です。
業務の流れや専門用語、事務所や企業ごとのルールは、経験者でも最初は戸惑います。
ですが「最初から完璧である必要はない」ということを心に留めておいてください。
私自身、未経験で特許事務所に飛び込んだとき、何もわからず戸惑い続けました。
それでも、少しずつ知識を積み上げ、失敗から学ぶことで自信がつきました。
重要なのは、
「自分で学ぶ姿勢」
「周囲に相談できる勇気」
です。
また、中途採用者として気をつけたいのは、職場の人間関係。
経験者であっても、組織の力学に巻き込まれることはあります。
私が体験したように、理不尽に扱われることもあるかもしれません。
でも、冷静に状況を見極め、必要なら環境を変える判断も重要です。
経験やスキルは積み重ねられますが、心身を削る状況に身を置き続ける必要はありません。
知財業界は専門性が高く、スキルを磨けば長く活躍できる世界です。
未経験でも、語学や事務スキル、コミュニケーション力など、自分の強みを活かせる場面は必ずあります。
怖がらず、少しずつ学びながら挑戦してみてください。
その勇気が、あなたのキャリアを大きく広げてくれるはずです。
以上になります。見ていただきありがとうございました!
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