私は学生時代、学力においては決して悪くはありませんでした。
テストの点数も学年平均より高く、努力すれば結果がついてくるといったそんな成功体験を積み重ねてきた学生生活でした。
勉強に関して特別苦労した記憶もなく、自分は頑張れば何でもできるとどこかで思い込んでいたのかもしれません。
しかし、社会に出た途端、その自信はあっけなく崩れ去りました。
人生初の挫折と事実上の戦力外通告
新卒で入社した事務職で、私は人生初ともいえる挫折を経験しました。
最初にぶつかった壁は電話応対でした。
社会人の基本といえば電話ですが、私にとってはその「基本」すら難しいものでした。
内線の取次ぎを誤って電話を切ってしまい、相手からクレームをくらってしまいました。
たった一度のミスでしたがそれ以来、電話が鳴るたびに心臓が跳ねるようになり、受話器を取る手が震えるようになりました。
この恐怖がきっかけで、ほかの業務にも影響が出始めました。
書類の処理ミス、報告漏れ、確認不足などなど、そんな初歩的なミスを繰り返すうちに自信がどんどん失われていきました。
ついには始末書を書くことになり、上司から「君はこの仕事に向いていない。ただ、解雇にすると経歴に傷がつくから、自分で辞める意思を固めたらどうだ」と諭されました。
結局新卒で勤めた職場は1年で退職することなり、表向きは自己都合退職という形ではありましたが、実質的には「戦力外通告」でした。
退職後、しばらくは「自分は何もできない人間なんじゃないか」と落ち込みました。
学生時代は「できる人」だと思っていたのに、社会に出た瞬間、何も通用しない。
あのとき私は初めて、「勉強ができる人」と「仕事ができる人」は全くの別物なのだと痛感しました。
サラリーマン不適合者とも言える私でも頑張れたこと
その後、私は3度転職を経験しましたが、どの職場でも完璧に働けたとは思っていません。
それでも、「自分なりにやりきった」と思える経験がひとつだけあります。
それは、商工会職員として働いていた時のことです。
私は経営支援の実績をもとに、県内の職員が発表を競う「経営支援事例発表会」に出場する機会を得ました。
初めての挑戦に不安はありましたが、パワーポイントを駆使し、自分の支援内容を整理していくうちに、次第に「伝えることの楽しさ」を感じ始めました。
結果、県大会で最優秀賞を受賞しました。
その後、地区ブロック大会でも最優秀賞を受賞し、全国大会に進むことができたのです。
全国大会では、全国各地の商工会職員や役員、識者など1000人以上の前で発表しました。
大勢の前で話すのは緊張するかと思いきや、むしろ心が高ぶるような快感がありました。
このとき、「発信する力」が自分の中に眠っていたのだと気づきました。
しかしながら、この成果は決して私一人の力ではありません。
資料作りのサポートや発表練習のアドバイスなど、先輩職員たちの厚いバックアップがあったからこそ実現した結果でした。
この経験を通して学んだのは、「チームで働く」ということの本当の意味です。
以前の私は、「仕事ができる人=一人で全部こなせる人」だと考えていました。けれど、それは大きな間違いでした。
本当に仕事ができる人とは、「周りと支え合いながら結果を出せる人」だということを、私はこの経験で初めて理解しました。
これまでの失敗の多くは、一人で完璧を目指そうとした自分が原因だったのです。
今では、報告・連絡・相談を意識的に行うようになり、チームの中で自分の役割を果たすことを意識しています。
すると、自然と仕事にやりがいを感じられるようになりました。
この体験から、「自分の強みは他人によって気づかされる」ということも実感しました。
自分のことは自分が一番わかっているようで、実はそうではありません。
私が「発信力」という強みに気づけたのも、発表会に出る機会を与えてくれた上司や、支えてくれた仲間のおかげです。
挫折を味わいながらも社会人として成長できた私の今後のビジョン
今も私は会社員として働いていますが、いつか独立してこの発信力を軸にした仕事がしたいと考えています。
その一歩として、Webライティングにも挑戦しています。
また並行して、発表会で培った声で発信することを活かせるのではと思い、ナレーション業にも興味を持つようになりました。まだ駆け出しですが、「自分の言葉や声で誰かに何かを伝える」ことに、確かなやりがいを感じています。
そして、もし会社で成果を出せなかったとしても、もう自分を責めることはありません。
なぜなら、会社でうまくいかないことは社会不適合ではなく、サラリーマン不適合かもしれないからです。
組織に合わないなら、フリーランスや個人事業主として自分の力を活かす道を探せばいい。今はそんな時代です。
私自身、そうやって少しずつ自分の道を探しています。
人生は一度きりです。
過去の失敗も、今の悩みも、きっと未来の糧になります。
私もまだ道半ばですが、同じように悩んでいる人に伝えたいことがあります。
「大丈夫。生きている限り、なんとかなります。」
一緒に、自分のペースで前に進んでいきましょう。
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